ダンス
最近では「恋」ダンスの大ヒット以降、意味もなく踊りを入れてみれば人気になるんじゃない?というメディア(テレビ局)の考えが見える中、今回はちゃんと、踊りに意味性が付加されている。誰かに何かを伝えるためにダンスをしているダンサーもいる。人気取りのために存在するものではないのだ。そして今回のカサネテクのダンスは、「重ねる」というキーワードをしっかりと体現させているがゆえに素晴らしいのだ。
意味のあるダンスを取り込んだ動画プロモーション。まさにプロモーションとして一貫性のある綺麗な作品だと思う。
音楽:「チープなサウンドに印象的な歌詞」
2016年の動画の王者、PPAPでおなじみのピコ太郎の手法である。ピコ太郎は80sテクノをベースにしている一方で、今回はむしろこの10年での日本の脱力サウンドを基に作られている点が面白い。
脱力系のサウンドでミニマルになりすぎず、しかし下品ではない音の「重ね」具合っていう、商品そのものをキッチリ音数でも表してる点も然ることながら。
急な転調ゴリゴリのこの構成って、でんぱ組.inc。にも代表される系統のアイドルソングであったり、ボーカロイドを使った系の音で、ウェブと親和性高いラインにおいてある。
音楽ソフトのプリセット音ばっかでポップだけど仰々しくないチープさ。そこに中村千尋たるシンガーソングライターの絶妙にクリアな歌声を重ねたことで、ちゃんと音楽として聴くに耐えるものになっていることも賞賛しかないわけで。
最近で言えば、水曜日のカンパネラみたいなルーズなラップに、ピコ太郎的チープトラックに、アイドル楽曲風の突飛な構成、なのに歌声はとてもクリアでキュートっていう、ここ10年くらいの売れ筋をコラージュしていった結果、もはや20年前遡ってのチボ・マットすら想起させるセンス、もしくは最近で言えばtofubeats並のクレバーさなんじゃないかと。
また、歌詞が面白い。この女子の悪巧み的なネタっぷり。カワイイ声の女の子にほんの少しの毒を盛った歌詞を歌わせることにかけては右に出るものはいない、真部脩一並の性格の悪さというか遊び心なわけである。そう、これはもはや真部脩一在籍時の相対性理論なのではなかろうか、というぐらい熱い!!
ということで、アーティスト性を排して、完全に企業の商品プロモーション用クオリティにとどめている点が圧倒的に好感を持てるポイントでもある。
●まとめ
ふとした時に口ずさんでしまう歌詞とメロディーに誰にでもできる簡単なダンスが特徴のこのCMはここ最近の広告の中でも広告としての役割をしっかりと果たしている素晴らしい作品なのではないのでしょうか。
合コンに参加する機会があれば少し違う見方ができて楽しいかもしれませんね。